SASSOU1 page 20/40
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18「至福のとき」とは、ここに流れる癒しの時間。 「いつかは山の手ホテルへ…」。訪れたことがある友人からその評判を聞いていたという妻からの提案で、私たちも山の手ホテルで真夏の休日を過ごしてみることにした....
18「至福のとき」とは、ここに流れる癒しの時間。 「いつかは山の手ホテルへ…」。訪れたことがある友人からその評判を聞いていたという妻からの提案で、私たちも山の手ホテルで真夏の休日を過ごしてみることにした。 鮮やかな緑の葉をつけた木々に囲まれた上り坂を進んでいくと、農業科学館の敷地なのだろうか色濃い芝生の公園とテニスコート。周囲の風景はまさにリゾートの雰囲気を醸し出していて、これから始まるホテルでの時間に思いを馳せたくなる。 エントランスを入ってチェックインロビーへ。自然の光が降りそそぐ全面の窓の先にある外の景色は、まるで一枚の絵のようだ。作られた庭園もいいが、ここのような手つかずの自然は自分を素に戻してくれるようで好きだ。 チェックインを済ませて部屋に向かう。途中には外が望めるプライベート屋内プール。プールとの縁も遠くなってしまったが、ここでならひと目も気にならないし、久々に入ってみようか。 山の手ホテルの10室のお部屋はすべて「はなれ」。その中から今回はちょっと奮発して和洋特別室「鈴虫」を予約してある。部屋に入ると、静か…。焚いてあるお香の上品な香りが心地よく体じゅうに入り込んできた。心憎い演出に、ホテルの気遣いが感じられる。窓を開けてデッキに出ると、蝉の鳴く声、風にそよぐ木の葉の合奏…。この空間を独り占めできる優越感に浸り、チェアに腰かけて過ぎゆく時をゆったり気分で楽しむ。 妻はプールへ行ってみると言う。さて私は、ホテル自慢の温泉へ行くことにするか。 ヒノキと黒御影石で囲まれた温泉風呂。大きな窓からは木立が見渡せる。木漏れ日がゆらゆら映る湯に身を沈める。ふぅ?、気持ちいい。何ていい時間だろう…と、心の底から思う。 妻はプールで泳ぎ、歩き、温泉へも行ったらしい。二人の感想は同じ。「来て良かったね」。 陽は山の向こうに落ち、窓を開けて夕方の涼風を部屋いっぱいに取り込む。お風呂上りの汗ばんだ体が静まっていく。 前もって伝えてあった夕食の時間となり、お部屋備え付けの部屋着のままダイニングルームへ。オーベルジュ山の手ホテル